王子様はいらない

そういえばこの声……
それによく見ればこの人……

「……湊……なの………?」

「…………やっと気づいた?」

「……、っ!!!!」

男の正体を知った途端、私は全力を振り絞って湊の腕から逃れた。

「おい待てよっ」

走り去ろうとした私の手を湊に掴まれ止められる。

「離してよ……あんたの顔なんか見たくもないっ」

「待てって、俺の話を聞いてくれ。連絡をしなかったことはホントに悪かったって思ってる……」

「言い訳なんか聞きたくないっ、私はあんたのことなんか知らないっ関係ない、あんたみたいな最低なやつ顔も見たくないっ」

「っ…!」

どうにか湊の手を突き放して全力で走り去る。


「………千尋…」