むしゃくしゃするから街に行こう。


夜の街は好き。
何もかもがどうでも良くなる、忘れられる気がする。
この時間がいつまでも続いたらいいのになって。
誰も私のことを知らない、何も考えない、いつまでも一人で自由に過ごせるこの時間が。
だらだら過ごして早く死にたい。
生きてて楽しくないし

「ね、君、可愛いね。ちょっと俺に付き合わない?」

でた、いつものナンパ。
ほんとにこれだけは勘弁。

「疲れてるのでお断りします。」

「そんなこと言わずにいいじゃん、ちょっとあっち行こ」

「…!!ちょっとやめてよっ……」

ドカッ

「うわっ…、…、!」

私の腕を強引に引いていた男が気がつけば突き飛ばされている。

「おいにーちゃん、嫌がってる女の子を無理やりにってのは感心しねぇな。」

目の前にいるのは……ホスト?みたいな金髪の髪に軽い格好をした……すごくかっ………容姿のいい男…。

「なにすんだてめ……」

「まだ殴りたりねぇか?」

「……ちっ…。」

気に負けたのか舌打ちをしてナンパ男は去っていく。

「…………あ…」

久しぶりの恐怖を感じた私はずぐに立てずに座りつくしている。

「…大丈夫か?」

「……ありがとう…ございます…。」

「………よかった。恐かっただろうから、家まで送っていくよ。」

「……!大丈夫ですっ…、きゃっ………」

断るつもりがすでに彼に体を持ち上げられていた。
そう……お姫様だっこ……

(ていはうかっ、こんなとこで冗談じゃないっ……、


「あの、一人で帰れますからっ…、…」

ジタバタ暴れるも話してくれる気配はない。

「暴れるなするな余計目立つぜ。」