私って、やっぱりダメだなぁ…
みんなの気持ちが全然わかってあげられない…
シュンと肩を落とす。
すると突然…
「お願いがあるんだけど?」
「えっ、何?」
お願い?
難しいことかなぁ…
男の子からお願いされることってなんだろう?
「立ってくれる?」
ん?
立てばいいの?
簡単じゃん!
スクッと立ち上がり、智哉の前に立つ。
「これでいいの?」
こんなの、いつでも出来るのに…
すると…
智哉の手が腰に回り、ギュッと抱きついてきた…
えっ、何?!
顔をコートに埋めてる…
「髪、なでてよ…」
これって…
球技大会のときの…
あのときの肩を震わせる姿が頭に浮かんだ…
そっと髪をなでる…
「これ、スゲー安心するんだ…
花火大会のときに、一目惚れって言ったけど、好きになったのは本当はこのときだったのかもなぁ…」
こんなことでいいなら…
優しく、優しく髪をなでた…
私に甘えてくれるなんて…
私が智哉にできることがあるなんて…


