「わかってくれた?」




智哉が優しく話しかけてくれる。





私は、途中から涙で顔が上げられなかった…




「告白のとき、意地悪してごめん。

知里があんまりに可愛くて。

こっち向いてよ」




こんな顔見せられるわけないよ…




首を横に振る。




「知里には、泣いて欲しくないんだ…

もう泣かせたくない…」




こんな甘い声が私に向けられるなんて…




両思いだったなんて、信じられない…





フワッと左側が温かくなった。




そっと見ると、智哉が横から抱きしめてくれていた。




智哉の体温が伝わってくる。




「知里、好きだよ。

結婚とか、先のことはよくわかんないけど、

オレと付き合ってほしい」




耳元でささやかれる。




嬉しくて言葉にならなくて、大きく頷いた。




「知里が、泣いてないときにキスしたいから、今日は我慢するよ」




さらにギュッと抱きしめられる。




「さっ、帰ろっか。

風邪ひいたら大変だ」




ゆっくり一緒に立ち上がる。




「部活は?」



「どーせ、今日までだし。

今日は知里といたいから」



「大也センパイ、怒らない?」



「明日から会わないようにする…」




苦笑いすると、私の手を取り歩き出した。