「あたしは、知里、キレイだと思ってるけど…」




「えぇ?!

私なんて、デブだし、ブサイクだし!

バカだし、性格だって、面白くないし!

優柔不断だし、友達いないし、なんの取り柄もない…」



何を言わせるのよ…



言ってて、情けなくなるよ!



「うーん、まずデブはどこから来たの?」



「小学生のとき、デブって男子に言われてた…」



「受験のとき、痩せたって言ってなかった?」



「うん…

勉強漬けで、間食なくなって。

ストレスで食欲も落ちて、15キロ落ちたけど…」



中学3年の衣替えのとき冬のスカートがゴソゴソになって、お向かいのお姉さんのスカートもらったんだっけ…



「じゃ、ブサイクは?」



「静香センパイや遊実と比べたら…

並ぶのがイヤになる…」




「なんの取り柄もないは?」


「静香センパイは、運動はできるし、委員会やれば、みんなまとめられるし、話せば面白いし…」



「あぁ…

知里は、静香センパイと比べてるんだ…」



「比べるなんて!

同じラインにも立ってないから!

憧れだから…」



静香センパイの顔を思い出すだけで、ニヤニヤが止まらなくなる!!



静香センパイは、完璧人間で私なんかが話してもらえるだけで十分!



「そっかぁ…

ちょっと考えなきゃなぁ…

…補習の時間だから、行ったほうがいいね」



「あっ、ホントだ!

遊実、聞いてくれてありがとう!」




机に用意してあった問題集と筆箱を持って、教室を飛び出した。




「知里は、人気あるんだよ。

センパイ、センパイって言ってるから、近付いて来ないだけでね…」




私がキレイとか、遊実は何をいってるんだか…

ブツブツ言ってる声で、後からの遊実の声は耳に入らなかった。