サイドを緩やかに巻いた髪が、ふわりと横に止められ、その上に浴衣の色に合わせた髪飾り。 「ありがとう! おばぁちゃん!」 鏡から目を離せないでいると 「時間だよ! 下駄は玄関に出してあるから、早く行きなさい!」 慌てて時計を見る。 「ヤバイ! 遅刻しちゃう!」 カバンを抱えて走り出すが、うまく動けない。 「転ばないように気をつけて!」 「いってきまぁす!!」 おばぁちゃんの声を背に、玄関を飛び出した。