「…お前が直哉の事好きだからずっと言えなかったけど、俺お前が好き」
「……え?」
「お前が好きだ、七花」

いきなりのことで頭が混乱する。まだ朝だ。これは夢なのか?それともこれは現実で、だけど奏多が寝ぼけているのか?

「本気だよ」

頭の中の葛藤を見透かすように奏多が言う。

「…ごめん」

私は長い坂道を駆けた。
坂道のせいで直ぐに息切れしはじめたけど、ひたすら走った。

わたしは昔からそうだ。
相手が自分に好意があるってわかると相手に苦手意識が芽生えてしまう。
大好きな友達の奏多には、奏多にだけは絶対にそんな風に思いたくなかった。
だから、逃げ出してしまった。