まだ幼い少年が、一番しっかりしているように感じた。
そんな彼が――今にも泣きそうな顔をしてあたしを見下ろしている。
怒りと悲しみが入り混じる、そんな顔であたしを見下ろす。
こんなカンナ―――知らない。
「なのに、いざ本当に付き合いだしたって聞いた時、頭ん中が真っ白になって、我慢―――できなかった」
あたしの肩に額を載せた彼は更に続ける。
「おまえの母親が亡くなってから、今まで泣くばっかりで何も出来なかったおまえが、泣くこともなく、家のことを不器用なりにやりだしたことを―――俺はずっと見てきた…
それまで泣くばっかりの弱虫なおまえがだぜ?一切泣くこともなく我が儘言うこともなく、家族のために働いてる。
小さい体で懸命にやってるお前を隣で見て―――俺が守っていってやりたいって…そう思った。
泣かなくなったおまえを、俺が泣かせてやりたいって…そう思ってた。」
あたしの手を掴む力がだんだん弱まっていく。もう自分の力で振りほどけそうだったが、何故かできなかった。
「この小さい手も、華奢な肩も、白い肌も―――俺が全部…守ってやりたかった」
気付けば彼の小刻みに震える体をそっと抱きしめてしまっている自分がいた。
