それでも僕等は恋を繰り返す



「…カンナ…手が…」

押さえつけられている手が痛い…だけど怖くて声が出ない。

自然に震えてくる体。こんなカンナ…初めて見た。


「…んで…俺じゃダメなんだ…」

―――え?そう思った瞬間、カンナが胸元に顔を埋めた。

「やだ!!カンナ!やめて…!」

バタバタと足を動かし抵抗するが、彼の体はびくともせず。


胸元にカンナの唇の感触がしたと思ったら、イタっと一瞬の痛みが走る。

噛まれたのかなと冷静になる自分がいる。抵抗しても意味がないのがわかったあたしは、動かしていた足を止めた。

するとカンナも顔を上げて、今度は見下ろしながらあたしとやっと目を合わせた。


―――なんて顔をしてるんだろうか…


「おまえが柊を好きだってことはずっと前から気付いてた。いつもあいつを目で追うおまえを隣で見てたからな。柊ならいいと思ってた。おまえが好きな奴と付き合うならいいって…思ってたのに」

カンナのことは五歳の頃から知っている。今までどれだけの時間を彼と共に過ごしてきただろう。

だけど彼が泣くところは、今の今まで一度だって見たことがない。

あたしのママが亡くなったときだって、彼だけは一人冷静だった。