「帰ろっか」
おいでと差し伸べてくれた彼の手のひらにそっと片手を重ねると、そのまま指を絡ませられる。
その瞬間ドキっとして、背筋がピンっと伸びた。
ドキドキして息ができない。こんなのが帰るまで続くんだと思うと倒れてしまいそうだ。
「夕顔」
「な!なに!?」
いつものことなのに、いつもと違う雰囲気に緊張しているからか、声が上擦る。
それを聞いた柊がフハッと笑うから、恥ずかしくて顔が火照りだす。
もう…消えたい…
「緊張してくれてるの?」
「…そりゃしてるよ!だって初めての彼氏だよ?柊は慣れてるかもしれないけど、あたしにとっては大事なんだから!」
ぶーっと怒るあたしを見て、彼が更に笑う。
「よかった。俺だけだったらどうしようかと思った」
彼のサラサラの前髪が風で揺れる。隙間から見える漆黒の瞳がキラキラと光っている。
「俺もめっちゃ緊張してんだよ?」
「嘘だ~!沢山付き合ってきたくせに」
「そうだね、でも俺も好きな子と付き合うのは初めてだよ」
