「何してたの?もうHRしか残ってないよ?ほら、ネクタイ出して」
まだ眠いのか、目が開いていないカンナが大きな欠伸をする。
「うるせえなあママ。少し静かにしてくんねえ?頭に響く」
いつも通り減らず口を叩くカンナにため息を漏らしながらも、鞄から勝手にネクタイを取り出す。
「ほら、とどかないから屈んで」
袖を引っ張って無理やり屈ませ、付けていないネクタイを勝手に結び出した時だった。
「相変わらずママはお節介だよね~」
「天羽のこと大好きだよな~」
カンナの周りによくいる不良グループがそう言って笑い出す。
三年目にもなるともう慣れてきたものだが、元々は「ママ」と呼ばれだしたのはカンナが原因だ。
カンナがママ、ママ言うから広まって今では大半の人があたしのことをそう呼ぶ。
…本当にやめてほしい。
「よしっ!これでOK」
ぐっと上までネクタイを上げると、カンナはそのまま机に突っ伏しまた眠ってしまったようだ。
昨日どんだけ寝てないんだ―――まああたしもだけど。
