「…不安にさせてる?」
「いや、そうじゃないの、ごめん今のなし!」
馬鹿みたい、好きって言うために頬腫らしてまで会いに来てくれたのに…どうしてそんなこと思えるんだろう。
「今までの俺見てたら不安になるのもわかるよ…考えなしだった、ごめん。だけど言い訳させてもらえるなら、あの時は夕顔のこと忘れようと思って必死だったんだ。夕顔以外なら全員一緒。誰でもよかった…とにかくカンナと夕顔を見てられなかったんだよ」
缶を少しへこませながら、普段より声を出す柊は、なんだか寂しげで。
「だけどもう決めた…夕顔は誰にもやらない」
こっちを見た彼の真っ黒な瞳が、泣くわけないのに、悲しそうに見えた。
「ジュース飲まないの?」
「…ああ、こうやって持ってるだけで冷たくて気持ちいの。ありがとう」
かっこいいとか、背が高いとかそんなところよりも、気が利いて、優しいところが柊の素敵なところ。
「もし夕顔がダメっていうなら、俺は今日で本当に諦めるよ」
―――柊が…いなくなってしまう…?そんなの絶対…ヤダ…
「あたしも…ずっと柊が好きだったよ」
蝉の声がする―――必死になって鳴いてる。
消えてなくなる前に、愛しい人に会うために。
