「そうか…」
こんなに優しく笑う彼を初めて見たかもしれないと思った。
歩き出した彼の少し後ろを歩きながら、カンナが優しいなんてなんか気持ち悪いとか思ってしまうあたしはどうなんだろうと思う。
でもそれ以上に――嬉しい。
「どうだ!?楽しかったか?」
帰りの車内、後ろの席のみんなは寝てしまっていて、起きているのは運転している結くんとあたしのみ。
「うん!なんか久しぶりに四人で遊んだーって感じ」
小学校3年生の夏休み。
まだ泳げなかったあたしとは対照的に、3人は泳ぐのが得意で。
みんな浮き輪しないで泳いでいたけれど、あたしはそれなしでは海には入れなくて。
カンナはその頃から意地悪で、あたしだけが浮き輪することを「ダッセー」と罵った。
あたしはそれが悔しくて、泳げると嘘を吐き、浮き輪をしないで必死になって海の中に浮かぼうと足をばたつかせていたら、つってしまい溺れてしまった。
だけどすぐ異変に気付いたカンナが沖まで運んでくれたお陰で大事に至らずに済んだ。
