「はははっ!物好きもいるもんだな」
驚くあまりぼーっとしているあたしの脳内にいつもより少し大きめなカンナの笑い声で我に返った。
そんなのあたしが一番よくわかってる…
「こんなブスのどこがいいんだか」
「うるさいなあ、言われなくたって分かってるよ」
「?夕顔?なんでいつもそんな自分を卑下するの?こんなに可愛いのに」
あたしの長く茶髪の髪をふっと優しく掴みながらそう言う椿に苦笑いしてしまった。
いつもいつも椿はあたしのことを可愛い可愛いと言ってくれるけど、それは椿の方で…
長い長いクルンと上向きな睫。吸い込まれそうに大きいお人形さんみたいにな瞳。透き通る綺麗な肌に長い長い足。いつも風になびくと綺麗な黒く長い髪。何処から見ても完璧なスタイル。
かたやあたしなんてチビだし、この青白い肌の色からカンナからはたまに白デブといわれる。イラっとくるけど、そのたび椿みたいに痩せなきゃと思う。
そんな椿は入学当初から“可愛い子がくる”と話題になっていたみたいで、1年の時は先輩達がこぞって教室に椿を見にきていた。