「射的の時さ、カンナの話しだしたよね…またカンナかよって正直イラっときた。」
思いもよらない言葉に驚くあたしが目を丸くして柊を見る。
彼は既にこっちを向いており、そのままお互いが見つめ合う形に。
「またカンナって…だってあたし達の共通の話題にはカンナか椿だし、それで怒るとは思ってなかった…」
「…夕顔は何かあるとカンナだよね?――カンナの事…好きなの?」
風がぶわっと吹いてあたしの髪留めが海に落ちる。
でも今はそんなことどうだっていい。
この人…何言ってるんだろう。
「…カンナなんて好きなわけないじゃん。柊今日ちょっとおかしいよ」
少し怒るあたしに、柊が悲しそうな顔をする。
お互いまだ目を逸らさない状況で、逸らしたら負けだと思ったあたしは、じっと柊の目を見続けた。
「そっか、ならよかった」
ほっとした様子の柊が深い深い深呼吸をする。
花火まであと何分だろうなーと携帯を見る。
げっ!結くんからえげつないほどの着信が。
あの人ほんと怖いんですけど。
