「夕顔?どした??」
「……なんでもないよ」
蝉の声がする。こんなにも雑踏や人の声が凄いのに、それでも鳴き声が耳に届いてくる。一体どれだけ必死に鳴いているんだろうか―――そんなにも何故必死になれるのだろうか。
荒かった息が整った。もう大丈夫―――怖くない。
「ねえ、二人で何コソコソ話してるの?」
そういえば四人になってから、柊と全く目が合わなくなった。
隣にいても喋らないし、全然こっちを見てくれない。
椿が射的をしに行こうと言い出し、半ば強引に手を引っ張られ連れて行かれるその後ろで、男二人も少し離れてついて来ていた。
「えー?二人の浴衣姿可愛いな~って話してただけだよ、ね?神代くん」
「え?あーうん。可愛い」
そう二人が口にした途端、隣を歩いていた椿が勢い良く前を向く。
いきなりのことでびっくりするあたしが、ひっそりと彼女の顔を覗くと―――頬が赤いことに気がつく。
椿の顔が赤くなるところなんて初めて見たかもしれない。
まさか―――椿もリラくんが好きなんだろうか。だから今日も二人で…
