それでも僕等は恋を繰り返す



結くんに付き合ってたら待ち合わせ時間に遅れてしまうと思いながら急いで下駄を履く。
背後からまだ何か言っている兄はもの凄く怒っているけど、無視して家を飛び出した。


「あ!柊~!こっちこっち」

「……浴衣…」

花火大会までの間、柊には用事があり、ギリギリになると言っていたので、現地集合しようという事になった。

毎年やってる金魚すくいのおっちゃんの屋台の前でね!と約束し、先に着いたのはあたしだったが、ほぼ同時に走りながら向かってくる柊の姿を見つけた。

「はは、そんな急がなくても。汗だくだね」

着くなりぼーっとあたしを見る柊にどうしたんだとうと思いながら、巾着に入れていたハンカチを取り出す。
彼の額から流れる汗を、背伸びして拭おうとするが、あまりの身長差に届かず。

「ちょっと柊しゃがんで。拭けないじゃん」

ぼーっとし、何も言わない彼のある異変には気付いていたが、知らないふりをしようとした。

―――また左頬が…腫れてる。

しゃがんだ彼に、背伸びしてやっと届いた額の汗を拭おうとすると、

「やあ、やあ、神代くん!久しぶりだね」

結くんがあたしの手からハンカチを奪い取り、柊の手に無理やり持たせた。