「うぐっ…息が…できな…うっ…!!」
最後の仕上げにぐっと帯を締められ倒れかけなあたしに、結くんがいつものようにいきなり抱きついてきた。
「ああ、僕の夕顔…なんて可愛いんだ」
「結くんやめて…今必死なんだって」
「こんな姿誰にも見せたくない、花火大会なんて行くな」
「…結くんは浴衣じゃなくても反対してたじゃん」
この異常にシスコンな兄は、柊と二人で行くことにもの凄い勢いで反対してきた。
翔さんにいいよと言われてるんだから、結くんの意見はそもそもどうでもいいが、なんだかこのままだと嫌な予感しかしない。
「当たり前だろ!!あんな男とふたりっきりで夜道を歩くんだぞ!?もし襲われたら誰が助けるんだ!?いないよな?二人だもんな?そもそも中学男子なんて頭ん中は欲望まみれだ!!おまえみたいな可愛い子と―――」
「結くん、あたしもう行くね。ご飯作ってあるからチンして食べて。あとお風呂は洗ってあるから自分でお湯溜めて入ってね」
早口過ぎてほぼ何言ってるかわかんなかったけど、絶対どうでもいいことだと思う。
