「えー明日から夏休みに入るが―――」
蝉の必死に鳴く声を聞きながら、窓の外の遠くの景色を眺める。
求愛行動のために、外に出てきてたった二週間程度の人生を必死に生きている蝉のこと考えると、あたしは恋に対してそんなに必死になれるかなあと思う。
まあ、蝉にとってそれは子孫を増やすためだろうけど、そこに恋があると思えば素敵じゃないかと思う。
「受験の年の夏休みの大事さ―――」
なんてアホなことを考えながら先生の話しが終わるのをじっと待った。
「ねえ、夕顔ちゃん」
帰り際、下駄箱で先生に呼び出された椿を待っていると、リラくんの声が聞こえぱっと振り返った。
ネクタイをいつも変えてくるリラくんの今日の色はブルー。
ネクタイ指定がない学校だが、一応学校用に作られているものもあるので、みんな大体それをつけるのだが、毎日違う柄のネクタイをつけてくる彼は本当にお洒落だなあと思う。
