「つーかお前とか頑張ってもぜってー紫蘭には行けねえだろ」
「うるさいなあ!!勉強の邪魔だから出てってくんない?」
机でノートを広げ椿にマーキングしてもらった箇所を必死に暗記しているのに、横からちゃちゃを入れてくるこの男にいつものようにイライラが募る。
こいつはあたしに嫌味を言わなきゃ気が済まないんだろうか、まったく。
「こんなことも覚えらんないのかよ、本当お前馬鹿だな」
「はーもう、そうよカンナと違ってあたしは馬鹿だけど、それをいちいち口に出さなくたっていいんですけど?」
イライラして勉強どころじゃないと感じたあたしは、座っていたカンナを無理やり立たせ背中を押して窓まで追いやる。
「帰って!」
べーと舌をだしたあたしに少しだけ笑ったカンナを見て、そういや久々にカンナの笑顔を見たと思った。
「なあ」
帰ろうと網戸を開けた彼が、何故か帰らず振り返りあたしの腕を掴んだ。
……どうしたんだろう。そう思うくらい顔が怒っているように見える。