「早くしろよカナ!!お祭りもうすぐだぞっ!!」


「待ってよショウ君!!はぐれちゃうよ!!」


小学生くらいの少年少女があたしの前を通り過ぎて行く。



あたしと洸ちゃんもあんな風だったっけ。


あの頃は、必死で洸ちゃんを追いかけていた。


そして、いつだって追い付く事が出来たんだ。



昔と変わらない石造りの鳥居と優しい提灯の灯りが見えてくる。


鳥居の前の階段に着くと、お囃子のBGMが聞こえ出す。



「……変わって……ないや。」


思わずそんな言葉が溢れる。


あの時駆けた、階段を一歩一歩ゆっくりと上る。



もしかして、この階段を上ったら、あの時の様に洸ちゃんが…………なんて。


そんなわけないのに。


心臓の音が増していくのは何でなんだろう?