----ちりんちりん……



「あんたねぇ、帰ってくるのに何で連絡一本よこせないわけ?」



変わらない縁側。


変わらない風鈴の音。



久しぶりの実家は、やっぱり落ち着く。


あたしは、縁側にゴロンと横になり、いつかしたように風鈴が揺れるのを眺めていた。


「……急遽決まったんだよ。今年の夏も仕事が忙しくて、夏休みもろくに取れないと思ってたからさ。」


爽やかな風が吹き込んできて、また風鈴が揺れて音を鳴らす。


「だからって、今日急に帰るなんて言われても、お茶くらいしか出せないわよ。」


「いいよ。」


ママは、ため息を付いて隣の部屋で洗濯物を畳み出す。


あたしは体を起こして、ママが持ってきてくれた氷の入った冷たい麦茶を手に取る。