「黒崎くん。……あのっ!傘、ある?」


「いや、持ってない。」


「わ、私、黒崎くんちと方向一緒だから、い、一緒に帰りませんか?そしたら、濡れないし!」


「……いーよ。」



白田さん。


嬉しそう。


何だ洸ちゃん、隅に置けないな。


すっかりカップルみたいだよ。



「吉川?」


「あっ!ごめん松田!じゃあ、傘入れてもらってもいい?」


松田は、人の良い笑顔で、


「もちろん。」


と笑う。





洸ちゃん達が、あたし達の隣に並ぶ。



洸ちゃん、あたしに気付いてるのかな?



何となく気まずい空気が流れる。



バイバイくらい、言った方がいいかな?


無視したら感じ悪いかな?


……あれ?


あたし、洸ちゃんにどんな風に話し掛けてたっけ?