「雨、凄いな。」
「そうなの。傘ないから参っちゃったよ。」
「俺折り畳みあるよ?貸す。」
松田が、鞄から取り出した折り畳みをあたしに差し出す。
「え!?いいよ!松田が濡れるじゃん!」
「別にいいよ。うちそんな遠くないし。」
「ダメ!絶対いらない!!この受験の大事な時期に風邪引いたら大変だよ!!」
松田は、困ったように首を傾げる。
「うーん…………じゃあ、一緒に入ってく?送るよ。」
「え?」
「黒崎くんっ!!」
---------ドキン。
その名前に体が勝手に反応する。
心臓が、跳ねて鼓動が増していく。
下駄箱で靴を履き替えている洸ちゃんに、駆け寄るのは一組の白田さん。



