あたしは、慌てて洸ちゃんから目線を反らす。


「な、何が!?分かってるよ!?」






この時あたしは、洸ちゃんに嘘を付いた。


全然分かってなんていなかった。


だけど、目の前にいる洸ちゃんは、まるで洸ちゃんではないようで、なんだか怖かったんだ。


あたしの知っている"幼馴染みの洸ちゃん"は、そこには居なかった。


あたしの目の前にいるのは、"男の人"だった。




胸が、ざわざわする。



「…………そうかよ。」




洸ちゃんはそう言ったきり、あたしと一度も口をきかなかった。