洸ちゃんは、あたしによそったカレーを差し出す。


心なしか、茄子が多い。


「カレーありがとう。

なんかね、松田と二人でお祭りに行くことになっちゃったの。」



洸ちゃんの動きが一瞬止まった気がしたけど、気のせいだろうか。


「……へぇ。」


「千里と三人で行くはずだったんだけどね、千里駄目になっちゃって……。」


うーん。


さすがに二人は微妙だなぁ。


松田モテるし、流石にいい気しない子がいるかも。


それに、松田だってあたしと二人で回るのは嫌なんじゃないかな。






うーん。


うーん。





「ま。いっか。」


洸ちゃんが、少し驚いた顔であたしを見る。


「いいのかよ……。」


「いいよ。松田には千里の事言うし、嫌だったら自分から断ってくるよ。

あ!このカレー凄い美味しいよ!!」






「美晴。

それがどういう事か分かってる?」





洸ちゃんは、椅子に座っているあたしに目線を合わせるように屈む。


片方の手は、あたしが座る椅子の背もたれに。


もう片方の手は、ダイニングテーブルに。


洸ちゃんが物凄く近い。


でも、見たこと無いような洸ちゃんの眼差しは、とても遠い存在に感じさせる。