「…何してんの、はるちゃん」


その声が聞こえたのは、私が座り込んだまま「ごめんなさい、ごめんなさい」と小さく連発し始めた頃だった。





おばけに名前を知られているなんて。

もはや死を覚悟する状況に…




「はーるちゃん」




「……え?」




私が目を瞑る前に手が差し出されて思わず顔を上げると、そこには見知った顔が不思議そうにこっちを見下ろしている。





「中村くんじゃん、」





拍子抜けした私は無駄に大きな声を出して、彼はそれに少し驚いてからふっと笑った。





「だから何してんの」





「おばけ……」



「え?おばけ?」





何も知らないらしい中村くんを、一瞬殴りたくなった。