店員さんに惚れるまで


彼が私を見ていないことは気付いていた

まさか彼女と....だなんて思いもしなかったけれど

あのとき私が彼に別れを告げていたら

彼女はこんなに悩まなかったのかもしれない

こんなに泣くこともなかったかもしれない

こんな私が彼女を前にし泣くことなんてできなかった

だからここにきて泣いたのだ

料理のせいにして

「どうぞ」

コトン、とだされたのは温かいココア

「温まりますよ」

その優しさにとまったはずの涙が再びこぼれる

『....美味しい』

「きっと彼女も後悔しているのではありませんか??」

きょとんと店員さんをみる