「締め切りが、違った」


「……は!?」


「向井さんが日にちを間違えていた。」


「んな!?」


「2日早く仕上げないといけない」


向井さん、というのは、竜上の担当者さんで
天然でかなりおっちょこちょい……。


竜上がしっかりしているから
その天然さがよく際立つ。


どっちが担当者なのか……と思うことも多々あり、竜上に怒られていたことも……。


それが今回は締め切り日の伝えミス……。



「ま、じか向井さん……」


正直、漫画家にとって締め切りは恐怖。

それが2日も早まったら……


「まずいじゃん……」


「昨日やらなかったしな。
とりあえず今日泊まれるか」


「そのつもり。 もう家には言ってあるし大丈夫。
あ、それと昨日渡されたのは仕上げやっといた
から」


「そうか。 なら助かった」


学生にとって、学校があるとやれる時間は限られている。


「……学校じゃできないしな
けっこうやばいな」


「……あぁ。 だが、俺のこの封印されし力を使えば……」


「おう。 それ使ってほしいのは山々だけど現実見ようぜ」


言葉を遮られたからか、竜上はうろたえる。

……こんな時まで厨二病かよ。