それでもやっぱり普通がいいっ!



半分、涙目になっていると、
若草さんは表情を明るくした。


「仲村くんは凡人なんかじゃないよ!
ほら、絵すっごく上手だよね!」


なぜか、すごく嬉しそうにそう言う。


「えっ……まぁ……確かに……絵、描くのは嫌いじゃないけど……」



俺が唯一、人よりできること。


それは、絵を描くこと。


あまり外で遊ぶのが好きではなかった俺は、
小さい頃は毎日絵を描いて遊んでいた。

だからか、昔から絵だけは上手かった。(我ながら)



……そのせいで嫌なこともあったけど。



「……でも俺、男だし。 男で絵上手いとか……
変、じゃない?」


女の子に絵のことを言われてると、あのことを思い出す。


ついまたネガティブがでてきた。

でも、実際中学生の時に言われたことがある。


『……男のくせに絵ばっかり描いててーー。』



と、あの時のことを思い出していたら

勢いよく手を握られた。


いきなり感じた、柔らかい感触。
小さく、暖かい感触。

もちろん、俺の手を握っているのは若草さんで。

驚いて目を見開く。


「わ、か」


「そんなことない!」


俺が呼ぼうとすると、その声は遮られた。


「そんなことないよ! 絵が上手なんて、憧れるよ!」


瞳をキラキラさせた彼女に見つめられる。


「……そ、うかな……」


つい彼女の勢いに圧倒された。