わたしの過去は、誰も知らない。

でも、架恋には親がいないことは話している。

普通、親がいないって知ってグイグイ聞いてくる子もいないから、どう死んだとかそんなことは誰も知らない。

それに、話したくもない。

またみんなに哀れみの目で見られるかもしれないから…

だから、もう学校では思い出さないようにしなくちゃ!

精一杯自分に言い聞かせる。

「じゃあ、今日は自己紹介するか‼︎」

先生の提案にみんな喜んだり、嫌がったり…

「じゃあ、まずは蒼石から!」

「あっはい…」

ちょっと蒼石くんは戸惑ったけど、そのまま自己紹介を始めた。

「えーっと…はじめまして。蒼石琉聖です。下の名前をたまに間違えられたりします。北川中学から引っ越してきました。もう中3だけど、いっぱい友達できたらと思います。よろしくです。」

るい…

なんか漢字一緒だから懐かしいな…

元気にしてんのかな?

蒼石くんは、名前一緒だけど、背高いし声低いし大人しそうだから…

違うよね…

琉聖はチビで活発で…想像したら髪染めてそう(笑)

ちょっと笑えてきちゃう。

思わずフッと笑った。

「ん?桐生だっけ…?なんか面白いことあったか?」

急に先生に言われて、みんなの視線がわたしに集まった。

「あっ…えっと…なんでもないです」

そんなことを言って適当にごまかす。