正常な僕等



 「ねぇ、そんな事より
  この松山をどうするつもり?」



 不機嫌そうに死体の処理を促す中村さんだが、彼女の唾も付着しているため藤崎くん一人の問題では無くなった。

 もはや二人は共犯者だ。



 「………悲しくないの?」


 藤崎くんが自分のやった事を棚に上げて心配そうに聞くと、中村さんは呆れてため息を吐きながら睨み付けた。



 「難しい心境かな。そんな事より
  素直に自首するか、隠滅するか
  選びなよ。
  どちらにしろ手伝ってあげる。」



 中村さんは気だるそうに松山さんを縛り付けているロープをカッターナイフで切り始めた。

 ロープはわりと丈夫だったため、なかなか思うようには切れなかったが…やがて『ドスッ』という重い音をたてて冷たいコンクリートの床に松山さんは転げ落ちた。