唖然と目を見開いている藤崎くんに、中村さんはニヤニヤしながら目の方向を下げて社会の窓を閉めるように指摘する。
すると、我を思い出したかのように慌てて下半身の露出をしまう藤崎くんは、動揺しながらも質問をした。
「………中村さんと松山さんは
幼なじみ………だったよね。
仲良く………なかったの?」
それに対して中村さんの表情は、今までの笑顔から一気に真顔へ変化した。
二人は小学生の頃からの幼なじみで、遊ぶときは常に一緒に行動していた。高校も中村さんと離ればなれになりたくなかった松山さんが、後を追うように受験して同じ場所に入学したのだった。
おまけにクラスも一緒。はたから見れば二人は大親友のよう。
しかし中村さんは、なんでも人の真似をして一人では行動できない気弱な松山さんに対して、いい加減うんざりしていたのだった。
「………藤崎くんが初めてかもね。」
松山さんが入学して中村さん以外の人と二人きりになったのは、藤崎くんが一番最初で………最後となった。
