「何してるの?」



 ──────バッ!!!



 油断したのも束の間………後ろから不意に聞こえた突然の声に驚いた藤崎くんは、思いっ切り振り向いた。

 同じクラスの中村さんだ。

 頭の中は真っ白になり………バレてしまったという事実が藤崎くんに襲いかかる。

 体は硬直状態だ。



 「あーあ………
  ヤバイ事しちゃったね。」



 中村さんは倉庫の中にためらいもなく侵入してくると、吊るされている松山さんを見上げながらほくそ笑んだ。

 松山さんはもう息絶えている。

 黙りこんで突っ立っている藤崎くんに、中村さんは問いかけた。

 『コレ』の処理について………を。

 自殺に見せかけるのはもはや難しいだろう。明らかに暴行を受けたと見られるアザや傷。それにロープの跡。極めつけは、藤崎くんのDNAたっぷりな精液が付着しているわけだ。

 突発的な衝動によって行われた欲望の残骸。後悔しても今更遅い。絶望だけが藤崎くんを襲った。もし万が一、中村さんに見つかっていなければ………もう少し後始末を考える余裕があっただろう。