ショッピングモールに入ってからは、いろんなところを回った。





今の時間は11時ぐらい。





「朔、そろそろお昼にしない?」





「そうですね」





「どこで食べるー?」





「あの、俺の行きたいとこあるんですけど、お昼そこでもいいですか?」





「うんっ!」





…着いた先は、私がこのショッピングモールでどこよりも行きたかったパンケーキのお店。





お昼には最適の場所らしい。





「予約した園原-sonohara-です」





「こちらへどうぞ」





朔って園原っていうんだ…





よく考えたら私、朔のこと全然知らないや。





「ねぇ、朔?」





「はい?」





「予約、しといてくれたの?」





「はい。ここいっつも満員らしいので予約入れたほうがいいと思って…」





「そっか。ありがとう。じゃあ、予約して正解だね」





「そうですね」





料理を頼んで来るまでの間、私は朔のことを知るために質問攻めだった。





朔も朔で私に質問攻めだった。





血液型だったり、好きな食べ物とか嫌いな食べ物だったり、色だったりと、色んなことを聞きあって教えあってた。





挙句の果てには、料理が来てからもずっとだった。





「パンケーキ食べよーっと」





「じゃ、俺も!」





「うーん……」





「何で迷ってるんですか?」





「えっとね、このフルーツの盛り合わせもいいし、こっちのいちごチョコのもいいなって思ってて…」





優柔不断な私はいつもこうなる。





最終的には神様の言うとおりで決めたりとかしてる。





「すみません」





「お待たせいたしました。ご注文は?」





「フルーツの盛り合わせといちごチョコ1つずつお願いします」





「かしこまりました。以上でよろしいでしょうか?」





「はい」





ん?あれ?今フルーツの盛り合わせといちごチョコ両方頼んだよね…?





「さ、朔!なんで2つも頼むの?朔別のやつ食べたいんじゃないの?」





「奇遇ですね、先輩。俺、いちごチョコ食べたかったんです」





「え?そうなの?」





「はい。一石二鳥でしょ?」





「う、うん…ありがと」





「いえいえ」





10分ほど経つとパンケーキが運ばれてきた。





「お待たせいたしました。フルーツの盛り合わせといちごチョコです。
ごゆっくりどうぞ」





「はい、先輩」





目の前には差し出されたフォークといちごチョコ。





これは、まさかの…





「先輩、早くしないと落ちちゃいますよ?あーん」





やっぱりー!





恥ずい…とにかく恥ずすぎるー!





でも…食べるしかない…!





意を決して食べると、ものすごく美味しかった。





「なにこれ…めちゃくちゃ美味しっ!」





「ほんとだー!美味しいですねー!」





私がおいしさの余韻に浸っていると爆弾を落としてきた。





「先輩もやってください」





「え?何を?」





「そりゃあ、あーんですよ」





笑顔で言うから逆らえない…





「あ、あーん…」





「美味しいー!」





恥ずかしすぎて死にそうだけど朔ざ可愛すぎる…!!





パンケーキのお店を出て、ゲーセンに行ったりとまたまたいろんなところを回った。





帰り道、私の気のせいは気のせいじゃなかった。





「あ、家ついちゃった…送ってくれてありがとね」





「はい」





「じゃあ、また月曜日…」





本当はまだ一緒にいたいけど朔に迷惑かけちゃう。





「先輩」





朔の声が聞こえて後ろを振り向いた。





気づいた時には目の前に朔の顔。





唇に残る感触。





私…キスされた…?





「ご、ごめんなさい!」





「あ、いや、全然いいよ。むしろ…その、嬉しかったし…」





あーー!顔が無駄に熱いー!





ーギュッ





「さ、く…?」





いつの間にか朔の腕の中にいる…





「どうしたの?今日、なんか違うよ」





「急にキスしてごめんなさい。でも、今日の先輩やけに可愛いし、帰り際にはまだ帰りたくないような顔してたので…つい」





「ありがとう。でも、私のファーストキス奪ったんだから責任は取ってね?」





「当たり前じゃないですか。ずっと先輩の元にいますよ」





なんだかんだと恥ずかしいデートは幕を閉じた。