「一体どこまで連れてくの!?」





「すみません、急に…」





もうっ!ほんとだよー!





「で?こんな人通りの少ないところに連れ込んだのには訳あるんでしょ?」





「はい。単刀直入に言わせてもらいます」





朔の目が真剣すぎて目を逸らしたくなった。





でも、逸らせなかった。





「な、なに…」





「先輩、どうしてそんな顔してるんですか?」





え…まさか、バレたの?





バレるわけにはいかず、必死で笑顔を作った。





「何言ってんのーw私はいつもどおり元気だってー!」





「今にも泣きそうな顔して、泣きはらした跡で作り笑顔されても隠しきれてませんよ」





なんで…





「何があったんですか?」





なんで気づいたの…





どうしてそんなにも勘が鋭いの…





「ど、うして…」





「わかりますよ。先輩顔に出ますから」





クラスの子といる時間のが長いのに…





浮かない顔してたらどうしたの?って聞いてくれる勘の鋭い子も何も言わなかったのに…





なんで1番最初に気づくの…





「ふぇ…うぅっ、さぁくぅー!!」





「先輩、泣かないでください。ゆっくりでいいです。話せるなら俺に話してください」





「ごめん、ね、ご…めんね。あ、りがと、う」





「大丈夫ですよ」





朔は柊哉と違ってシトラスみたいな匂いで、私の大好きな落ち着くものだった。





朔のおかげですぐに落ち着くことができ、あの出来事を話した。





高校生のお兄さんに追いかけられて、それを柊哉に助けてもらったこと。





けれど、それは落とせるかゲームの対象だったからで、彼の優しさではないこと。





なのに私は、彼を嫌いになれないこと。





全て吐き出した。





私が話し終わると、朔は言った。





「辛かったですね」





別に同情してほしかったんじゃない。





そのはずだったのに、私はその言葉を聞いてまた泣いた。





「やっぱ俺もっと頑張ります!」





…何を頑張るのだろうか?





「先輩はわかんなくていんですよ」





「はっ?いいわけないでしょーが」





「いんですいんです」





「よくないってばー!教えろー!」





「プッ…ハハハハハ」





急に笑い出す朔。





「な、なんで笑ってんの…?」





「いや、だって、先輩さっきまでめっちゃ泣いてたのにもういつもみたいに戻ってるじゃないですかw」





「あ…」





そういえばそうだ。





「それでこそ先輩です。なんかあったらちゃんと相談してくださいね。俺、いつでも聞きますから。先輩んとこにぶっ飛んで行きますから」





「ありがとう」





そんな優しい朔になんかドキッとした。





でも、その時は気にしなかった。





わたしがこの気持ちの正体を知るのはもう少し先のこと…