生命が羽ばたくとき

私は萌の嘆きを無視し、栞で挟んだページを開き読み始めた。



「咲は今日もクールですなー」



萌は肘を私の脇腹につつく。



私は脇腹が弱いためそんな声が出てしまう。



私の反応を楽しんでいるらしい。



「萌さんよ、君の幼なじみがおるではないか」



私は教室の後ろにいる男子の塊の中の1人を指さした。



馬渕 和希、萌の幼なじみくん。



男女構わずみんなの人気者で、萌の初恋相手である。



初恋といえども、現在進行形の恋だ。