その答えを聞いた田所先生は、懐にしまってあったメモ用紙を俺にくれる。



「その答えが聞けただけで十分だ。あ、あと」



「俺も行くぞ」



「だ、だるせんっ!?」



扉によっかかっていたのは、担任のだるせん。



「おっせーよ、類」



「わりぃな。思ったよりもこいつらの行動が遅くてよ」



だるせんまで、咲の知り合いかよ。



「悪かったな。俺らは咲のご近所さんだ」



田所先生は妖しげに笑い、ピースサインを向けてくる。



そして俺、金城、和希、だるせんで咲の家に向かって走り出した。



田所先生が囁いたことに、俺たちは知る由もなかった。



「咲を救ってくれ……」



そう願った声なんて、俺たちは知らない。