一週間後、璃子さんからLINEが来た。


雅治君、こんにちは。この前はうやむやにしてごめんね。

いいえ、そんなことありません。
返信を打つ。すぐ帰ってきた。

うまく言えないけど、ハッキリ伝えたいと思う。
彼方は、ある心臓病に掛かっていて、去年4月に余命半年を宣告されたの。
治療の余地は無くて、命を伸ばすクスリを飲むのも苦痛が伴うから……
彼方は家族と相談して、残された時間を楽しく過ごすことに決めた。
それで、ちゃんと普通の人の様に、中学に入学して雅治君みたいな彼氏も出来て、楽しそうだった。
でも、やっぱり命のカウントダウンは始まってたのね。

8月後半に、発作を起こしたの。

その時言ってたわ。
「雅治に会えて良かった。大好きだから心配だけはかけたくない。」
それで、普通に別れたフリをしたのね。きっと。
部活も怪しまれないように辞めて、死ぬ準備を整えていった。
そして今月5日に死んだ。眠るみたいに。最期のことば、ききたい?

きき、たいです
僕の目はもう、充分すぎるほど潤っていた。

「雅治。最初で、最後の恋を、ありがとう」