初恋は苦い!?甘い?!

「おい、郁。」







「…麻耶?」








気づいたら部屋は真っ暗で、麻耶が入ってきてた。






「…想に聞いたのか?」






「…うん。だけど、私にはどうすることも…」







「郁、なんて聞いたんだ?」







「…想くんのお父さんは、想くんとお兄さんを比べる厳格な人で…、とにかく想くんにだけ厳しかったって…。そのお父さんが病気で亡くなって…、内心喜んでる自分がいたって…。」







泣きながら話した。
とにかく涙が止まらなかった。






「それから?」







「…杏奈さんは…、お兄さんの彼女さんで、お父さんのお墓参りに行ってたって。だけど、想くんは今まで一度もお墓の前には行ったことなくって…、お父さんが憎くて憎くて、仕方ない…、心から笑えない…って。」







想くんはこんなにも辛い思いを一人で抱えてたなんて。






「…想の、兄貴、今どうしてるかは?」






「…言わなかった。」






「…想の兄貴はな、今親父さんが死んだショックでまだ立ち直れてねーんだ。」







「……。」







「杏奈さんも、ほんとは兄貴と行きたいだろうに。…想は、弱みを人に見せたがらないからな。」








想くんに私は何をしてあげられるだろう。
何もできないんじゃないのかな。
隣にいても、想くんが心から笑うことはない。


私にできることなんて…






「…郁。想は多分、郁に恋してる。」






「…嘘だ。」







「…ほんとだ。俺は想のこと良く見てきた。だからわかる。想がこんなに人のことを大切にしてたのは初めてだ。怒鳴ってたのも初めて聞いた。」







「…嘘だ。」







「…郁。」






「…だって、想くんは…、私は…!想くんに何もしてあげられない!それなのに…」






「…郁、よく聞け。想は今助けを求めてる。けど、それは俺にでも杏奈さんにでもない。お前だ、郁。」






「…なんで。」







「…想は、俺以外にどうしてもこのことを話したがらなかった。だけど、郁には話した。それが、答えだ。」







麻耶が余りにもまっすぐ話すから。
私の目からは涙が溢れて。
声も溢れて。


どうしようもなくなった。