「じゃあここで、いい?」

彼は持っていてくれた私の荷物を私に手渡す。

「ここからは全然近いんで大丈夫です。わざわざ駅までありがとうございます。」

先輩と私んちは近いんだからその車に乗せてってくれればいいじゃん。

そんなワガママは飲み込んで笑顔を作った。

「じゃあ…」

あ、いつものが、くる。

「今日もありがとうな」

たぶんこんな混んだ駅前で男女の一組くらいがキスを交わしていても誰も気にならないだろう。

佑都先輩は私の髪の毛をスルッと撫でると右頬に手を添えてキスをした。

「じゃあ、また、な。」