他にも待ち受けは元々ケータイに内蔵されていたものを使っていることや、でもピクチャフォルダを開くと花や植物や由布の写真ばかり入っていることを由布は知っている。

 植物と、他の友達と一緒に撮った画像を合わせたって由布関係の方が多いのが嬉しい。ゆーまの心をそれで推し量ったって意味ないし、仕方ないことは分かっているんだけど。

 後は、受信メールは由布からのばかりだということ。ちなみに、ゆーまはメルマガやどうでも良いメールはどんどん消しちゃう性質だ。

 設定を開き、サイレントを解除。バイブを無効。電話着信の音量を最大にして部屋の扉を閉め、ケータイをベッドに移動させて(でも鼓膜が破れると怖いのでゆーまの足元に置いて)、自分は最大限ゆーまから離れる。準備万端。

 鳴らしてみた。ゆーまは起きなかった。
 代わりに、由布ちゃん何やってるのー? 階下のおばさんに訊かれてしまった。


 ゆーま(略)そのさん、いっそ泣き落としてみる。

 由布は、これは我ながら良い作戦だと思った。古来から押してだめなら引いてみろと言うじゃないか。それと同じで、起きないゆーまを責めるばかりでなく、たまにはしおらしく、ゆーまのことが心配なのだと切なく伝えてみればどうだろう。

 残念ながら由布は女優体質ではないので、持ち歩いている目薬をさして目を潤ませる。