いつの間にか丸く円を描いて立っていた女子たちの間に、美依と共に入り込んでいた。美依は少し眉をひそめたけど、左隣のクラスメイトは特に由布の暴言を気に留める様子もなく、おっとりと首を傾げながら考えてくれた。

 楽なのはソプラノかなあ。
 そうだね、音さえ出れば主旋律だし。アルトだと頭使うよね。
 でも私あんな高いの歌えないからムリー。

 その場にいた子が次々と新しい話題に飛びついて、今まで由布が知ろうとしてなかった合唱コンクールの情報が一気に入ってくる。

 まるで情報という名の水が溢れ出すようで、頭痛を覚えた由布はじゃあソプラノにする、と呟いて口をつぐんだ。美依に聞こえていれば問題はないと思った。

 それより、由布が優先して考えるべきはゆーまのことだ。

 ゆーまは今頃どうしているだろう。もしかしたら絶望しているかもしれない。由布とゆーまを繋ぐものが切れてしまったのだと思い込んで。

 ――物思いにふける由布を右隣にいた美依は目を眇めて見ていたが、聞いているようで実は全く話を聞いてない、適当に相槌を返すだけの赤べこ人形になった由布が気付くはずもなく、美依は更に唇をかみ締めた。