ペラン……ペララン………。
スーパーに来る前まで、少しは厚みがあった私のお財布は、見事にペランペランになった……。
「アスちゃんのバカぁ~!どうしてく「雛、とばすよー。しっかりつかまってなぁ!」
私のアスちゃんへの暴言は、アスちゃんの威勢のいい声によってことごとくかき消された。
“とばす”と言ったアスちゃんの言葉通り、二人乗りのバイクは凄いスピードで道路を突っ走っていく。
「きゃぁぁぁぁぁぁ…!」
普段バイクになんか乗らない私は、いつもいつもバイクに乗るたびに奇声を発する。
そして今日も、いつも通り「きゃぁきゃぁ」言いながら家への道を急いだ。
「雛っ、着いたよ!」
アスちゃんの言葉で、どこかへ飛んでいっていた意識が戻ってきた。
急いで家の中へ入り、掛け時計を見上げると家を出てから丁度15分。
アスちゃんがとばしてくれたおかげで、家まで5分の所を3分で着いた。



