この前のショックからか、心の中に封じ込めていたはずの幼い頃の記憶が、少しずつ脳裏によみがえって来た。
嫌な事思い出しちゃったな……
苛められていた事も、昔の私の事も……。
「雛……、大丈夫?」
いつのまにか、私の隣には心配そうな顔をした麻耶と響くんが、頭を抱えている私を覗き込んでいた。
「ん、大丈夫」
誰から見ても、大丈夫じゃない事くらいわかるのに、それがわかっていて私は嘘をついた。
そんな私の嘘をわかっていながら、
「そっか。そういえばさ、この間、新しいカフェがオープンしてたんだけど、一緒に行かない?」
「おっ、いいね!!3人で行っちゃおっか」
「え~…、響くんも行くの……?」
「……なんか文句ありますか?」
こんな風に、いつも通り接してくれる二人が暖かくて……申し訳ない気持ちで一杯になった。



