「ごゆっくりどうぞ〜」
映画館の受付の女の人に導かれて薄暗い上映館へ入った。
まだ映画は始まってないらしくて、所々からヒソヒソ話し声が聞こえてくるのがわかる。
「隼人、楽しみだね」
「あ、うん」
入る前に買ってもらった、定番のポップコーンを口に運びながら話し込んでいると
独特の音とともに、辺りが真っ暗になって映画の始まりを告げた。
映画が始まってから、私達は一言も話さずに画面に夢中になった。
ときどき、ふいに隼人の腕が、私の腕に当たってドキドキが増す。
映画は、今話題の恋愛物だった。
思った以上にラブシーンが多いと思うのは私の気のせいなのかな?



