大切なマグカップは、アスちゃんの手によってこんなになってしまった。



「ごめんね雛、お母さんが悪かったのよ」


こんなにも寂しそうな母さんの顔は、見たことがなかった。


だけど、お母さんは…。



「幸せでしょ?お母さんにはお父さんがいるんだから」


「なに言ってるの…」


「いいんだよ、幸せになって…。アスちゃんも私も大丈夫だから」


「でも、お母さん…」


「ごめん、私…学校あるから行くね」





せっかく話が出来たのに、また逃げてしまった…。


私って、つくづく卑怯な子だ。


さんざん、話をややこしくさせたのに逃げたりして。


これじゃ……これじゃ……。