「とにかく……あたし、お母さんに聞いてみるつもり。だから……、雛には言っときたくて」
離れていくアスちゃんの顔を直視する事ができなかった。
だけど、やっぱり事実なんだ……そんな思いが溢れて、頷かずにはいられなかった。
真菜ちゃんに肩を抱かれて部屋を出て行ったアスちゃんの後姿を思い出し、胸がどうしようもなく苦しくなる。
いつも支えてくれたアスちゃんが、あんなに弱ってしまってる。
だから、私がアスちゃんの支えにならなくちゃ…って思うのに、私はまだまだ弱い。
だから、そんな力ないよ……。
自分の無力さを認めたくなくて、現実逃避するように携帯を手に取った。
すぐに聞こえてくる呼び出し音に、どきどきと鼓動が高鳴る。
しばらくして、電話の向こう側から優しい声が聞こえてきた。



