教室の中は、しーんと静まりきっていて、当たり前だけど人は1人もいない。
「はぁ…、疲れた」
緊張から解き放たれた麻耶は、近くにあった机になだれ込んだ。
廊下を歩いていた時の変な緊張感がすっかり抜けてしまった体。
今になってどっしりとした疲労感を感じた。
「ちょっと麻耶~。さっさと帰ろうよ」
自分のバッグと麻耶のバッグ……それを両手に抱えながらもぐったりとしている麻耶を揺するけど
「ちょっとタイム~」
なんて。
「ダメだって。麻耶のバッグほんと重いんだから。何いれてんの!?」
「ん~…女の子はいろいろあるの」
いろいろって……。
麻耶は、教科書なんかこれっぽっちも入れないくせに、バッグは私なんかよりずーっと重い。
持ってると、腕に血が通わなくなる程……。
「麻耶~痺れるってば」
その場で足踏みをして麻耶を催促するけど、無駄みたい。
もう限界………。
そう思って、バッグを床に置こうとした。
その瞬間、何故だか持っていたバッグがふわーっと浮いた。
「え…?」



