キャラメルに恋して



「もうっ、私まで怖くなったじゃん。さっさとバック取りにいこ」


職員室に行く前に教室に置いてきたバッグ。


電気をつけないと真っ暗な廊下をゆっくりと歩き出した。


麻耶は意外と小心者というか……、おばけとかそういうのが苦手らしく


「あ~怖っ」


なんて、何度も言いながら私の腕に自分の腕を絡み付けている。


そんな麻耶に若干呆れている私も、そういうのは苦手な方であって……。


昔、隼人と遊園地に行った時もお化け屋敷がダメであって。



「ほんと……怖い」


電気をつけても薄暗い廊下を、とぼとぼと歩いた。



「なんかさ…こんな時って、昔した学校の怪談話とか思い出すよね」


「ちょっと…やめてよ」


麻耶の一言から、私の頭の中は学校の怪談話でいっぱいに。


どこからともなくエリーゼのために…なんて流れてくるし………。



ほんと、かんべんしてよ~。



なんて思っていたら、明々と電気の付いた教室が見えてきた。


おかしいな……付けてなかったはずなんだけど。



そう思いながらも、この薄暗い空間から一刻も早く抜け出そうと、早歩きで教室に入った。